クリスマスマーケットの起源と代表的な都市のクリスマスマーケット

クリスマスマーケットの起源と代表的な都市のクリスマスマーケット

はじめに:クリスマスマーケットの概要

クリスマスマーケットは、ドイツ発祥の一大行事です。

ドイツにおけるクリスマスマーケットの期間は、11月の最後の週に始まって、クリスマスイブまたはその前日~2日前まで続きます。通常、営業時間は、毎日午前10時から午後8時くらいまで営業します。この時期は、Advent(ラテン語に語源をもつ「到来」という意味)とよばれていて、クリスマスを迎えるための準備をする時期とされています。

ドイツでクリスマスはWeihnacht(ヴァイトナハト,聖なる夜)と呼ばれます。クリスマスマーケットは、少なくとも14世紀には成立していました。当時のクリスマスマーケットは、人々が聖なる夜を迎えるために、生活必需品や食料・衣料品などを揃えるための場所でした。

現代のクリスマスマーケットは、主に楽しい時間をすごすための市場です。コンサートやパレードなどのイベントもあります。また、屋台のグルメは逸品揃いです。クリスマスに限らず、店舗でいただくことは可能ではありますが、特に、クリスマス屋台では、焼き栗、ソーセージ、スイーツ(シュネーバルなど)の逸品が販売されるので、お買い物が一段と楽しくなること間違いなしです。

発祥地は、ニュルンベルク、ミュンヘン、ドレスデン、フランクフルトなど、諸説あって定説はないようです。少なくとも14世紀頃には、クリスマスマーケットとして成立していたようです。

ともあれ、これほど世界各地でクリスマスのマーケットが拡がっているにも関わらず、ドイツのクリスマスマーケットに人が集まるのは、本場ドイツのクリスマスマーケットには、現地でしか味わえない独特の魅力があるからだといわれています。

なお、本記事は、沖島博美著『ドイツクリスマスマーケット案内』河出書房新社、2015年を参照しています。

クリスマスマーケットの起源

ドイツの起源から確認

世界史によると、ドイツの原型ともなる東フランク王国が形成されたのは、10世紀頃です。神聖ローマ皇帝が支配したローマ帝国のなかの、一王国という位置づけにありました。ドイツという名称の語源は、ラテン語の「民衆の」という語に由来しているとされているところにあらわれているように、ドイツにおいては皇帝の存在は薄く、現地の封建領主による分権的な支配が行われていました(「世界史の窓」y-history.net/を参照)。

自由経済社会の原型:クリスマスマーケット

国家の中に、地域ごとの封建領主がいて、権力を持っていて、市民の経済活動を制限したり、作った物を徴収する様子というのは、時代劇などで見るとおりです。クリスマスマーケットが誕生したおよそ10世紀~14世紀もそういった様相だったようです。

もともと、ドイツは、師匠と弟子という厳格な徒弟制度のなかで、技能や技術が発展していました。それぞれの職業は、とても高度に専門業として特化して、ギルドという手工業の同職人組合を組織する文化が発達しました。

そうした社会のなかで、個人個人が私的な経済活動として、お買い物をしようとすると、ほかのお店を頼らざるをえなくて、結局、いろいろ買いそろえようとすると、現代のように、ショッピングモールが必要になりました。

しかし、旧時代の封建領主は、市民の自由な経済活動をあまり許さないので、高度な技術で製品・商品を作れる職業人は、不満に思いました。他方で、帝都の発達のためには、地方ごとに存在する高度な専門的職業人を、都に集めて豊かになりたい要請もはたらきました。トップと市民の両者の思いが一致して、市民たちには、一年の中で、たった3回だけではありますが、そのときばかりは、地方支配から出て、帝都に行ってお店を開くことが許されました。

その3回のうちのひとつが、クリスマスマーケットというわけです。

最古のクリスマスマーケットの姿

最初のクリスマスマーケットで売られていたものは、生活必需品、衣料品、食料品などが多く、現代のように、クリスマスを祝うために、楽しみや喜びを求める商品が売られているという様相とは大きくことなっていたようです。もちろん、その時代には、現代の総合スーパーがない時代なので、これだけで画期的なことです。

その名称にしても、クリスマスマーケットではなく、Dezembermarkt(ディツェンバーマルクト)とかWintermarkt(ヴィンターマルクト)という名称で、開催期間も最初は、たいへん短い時期だけでした。

クリスマス飾りのはじまりと娯楽文化への移行

上に紹介したように、ドイツは手工業や商工業などのギルド経済がとても発達していたので、それぞれの職人はとても高度な技術をもっていました。そうした技能を発揮して、クリスマスを彩る銅や錫や鉄などを用いた製品や装飾品、木工製品などによる模型やおもちゃなどの開発が花開きました。

かわいらしい装飾品をモミの木に飾り、素敵で楽しいおもちゃや贈り物を子供たちや愛する人に贈って、喜びをわかちあうという楽しいイベントの文化がはじまりました。

現代日本で、キリスト教信仰からすこしはなれたところで、人々が、いわゆる楽しい時間を共有することに重きを置いた現代型のいわゆるクリスマスというイベントの原型は、ドイツで起きたといってもあやまりではないかもしれません。

ニュルンベルクのクリスマスマーケットでは、Christkind(クリストキント)という黄金の天使(幼子イエス)に倣った女性が、マーケットの開場を宣言します。この女性は、2年に一度、市民のなかから選ばれます。その様子は、さながら美人コンテストだと評する意見は決して少なくありません。とはいえ、とても名誉あるコンテストで、親善大使として公式行事に参加することもあるそうです。

ちなみに、伝統的にクリストキントは、12月24日までに、子供たちにプレゼントを運んでくれる天使であり、由緒ある神様です。もちろん、サンタクロースを否定するのではありませんが、カトリック教会の立場は、近時にイメージされるサンタクロースの姿や存在は、あやまっており、正しくは、クリストキントがプレゼントを運んでくる天使であると説いています。ともあれ、ドイツの子供たちの間ではサンタクロース(赤白装束のヒゲおじいさん)とクリストキント(黄金の天使)とのどちらか一方だけが、正しく他方は誤っているのだとして、学校では鋭い対立があるようです(参照サイト:ヤフーブログ/shigekisatojp/10751359.html、wikipedia/サンタクロース/)。

ともあれ、最古の日用品市場からスタートしたクリスマスマーケットは、18世紀頃までの間に、Christkindlesmarkt(クリストキンドゥルマルクト)として発展して、現代の楽しい時間を共有するためのクリスマスの様相に繋がっていく姿になったようです。

各地のクリスマスマーケット

ドイツのクリスマスマーケットは、各地の特色があって個性的です。大きな都市の広場には、クリスマスタワーが設営されます。そして、その周囲には、たくさんの露店が立ち並び、ロマンチックな彩を添えます。クリスマスマーケットを開催する都市は、非常に多く、ドイツのどこに行ってもマーケットをしているといっても過言ではないくらいです。ドイツ全土がクリスマスマーケットですが、とりあえず、ニュルンベルクとローテンブルクだけをピックアップで簡単にご紹介します。

ニュルンベルクのクリスマスマーケット

ニュルンベルク

ニュルンベルクのクリスマスマーケットは、年間200万人が訪れる巨大イベントです。ニュルンベルクのクリスマスは、KinderWeihnacht(キンダーヴァイナハト)と呼ばれます。

ニュルンベルクのクリスマスマーケットは、子供が主役のクリスマスマーケットです。昔ながらの小さな可愛らしいメリーゴーランド、観覧車、蒸気機関車などのアトラクションが開設されます。さすが、世界一のおもちゃの町ニュルンベルクです。

ニュルンベルクのクリスマスマーケットは、赤と白の布で飾られた約180の木製の屋台が特徴的です。そして、ニュルンベルクのクリスマスマーケットでは、屋台の美しさにも重点が置かれており、毎年、美しい屋台が、栄誉ある賞とともに、表彰されます。
ニュルンベルクのクリスマスマーケットには、毎年およそ200もの屋台が、出店します。そして、ニュルンベルク名物のスパイシージンジャーブレッド、フルーツパン、ベーカリー用品、お菓子、クリスマスツリーの天使、ベビーベッド、クリスマスツリーの飾り、キャンドル、おもちゃなどのクリスマスグッズ、多くの芸術品や工芸品を販売しています。

(参照サイト:http://www.germany-christmas-market.org.uk/)

ローテンブルクのクリスマスマーケット

ローテンブルク

ローテンブルクは、ロマンチック街道のなかでも、一段と中世の街並みを遺している一大観光地です。「ロマンティック街道の宝石」ともいわれる可愛い街並みについては、本サイト別の記事でも紹介しています。このような観光地なので、クリスマス期間は、さらに大勢のお客さまが集まります。

ローテンブルクのクリスマスマーケットでは、開場を宣言するのは、ニュルンベルクのようなクリストキントではありません。Reiter(ライテレ)と呼ばれる嵐や死を司る神様を模した人が、馬に乗って登場して、開場を宣言します。

ところで、Reiterは、かなり由緒があります。北欧神話のオーディン神話から生まれた伝説的な神様で、キリスト教以前から存在しており、死や不幸なことを司るだけでなく、自然世界から人々に対して贈り物を授ける神様でもありました。キリスト教以降の世界では、気立て良く人々に贈り物をする存在として描かれるようになったといわれます。

〔画像拠出:公式Web, germany-christmas-market.org.uk/〕

クリスマスマーケットで過ごす楽しい時間

クリスマスに関連する用品などを売っているのがほとんどです。種類は、大変多彩で、オーナメントや置き物、おもちゃ、ろうそくなどが売られます。霊験で神聖な、元来の伝統的なクリスマスを迎えるための市場です。

本場くるみ割り人形

オルゴール人形

〔画像拠出:公式Web, germany-christmas-market.org.uk/〕

とはいえ、もちろん楽しい時間をすごすための市場でもあります。コンサートやパレードなどのイベントもあります。また、屋台のグルメは逸品揃いです。クリスマスに限らず、店舗でいただくことは可能ではありますが、特に、クリスマス屋台では、焼き栗、ソーセージ、スイーツ(シュネーバルなど)の逸品が販売されるので、お買い物が一段と楽しくなること間違いなしです。

Bratwurst(ブラートブルスト)

〔画像拠出:公式Web, germany-christmas-market.org.uk/〕

 

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